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立岩 尚之
高圧力の科学と技術, 25(4), p.274 - 282, 2016/01
われわれが開発を行ってきた高圧下磁化測定用圧力セルmCACについて解説行う。Quantum Design社のMPMSを始めて簡便に磁気測定が可能な、SQUID磁束計が開発され多くの研究機関/大学で使用されている。圧力セルをSQUID磁束計に適用させ高圧下磁化測定を行う試みも多く行われた。本解説記事ではわれわれの研究グループで開発が行われてきた高圧下磁化測定用圧力セル:セラミックアンビルセルmCACについてその詳細を紹介する。磁化の小さな材料から構成されるmCACでは、精度の良い測定ができ、10GPaを超える超高圧領域における磁気測定も可能である。圧力セルの詳細と希土類化合物YbCuSiの測定結果も紹介する。10GPaの圧力で強磁性状態が誘起されることを明らかにした。
中村 彰夫; 赤堀 光雄; 小川 徹; Huntelaar, M. E.*
Physica B; Condensed Matter, 359-361, p.1021 - 1023, 2005/04
被引用回数:1 パーセンタイル:6.21(Physics, Condensed Matter)ウラン窒化塩化物UNClは、最近塩素二重層間へのリチウム挿入により電子ドープされ臨界温度26Kまでの高温超伝導体になることが発見された(Zr,Hf)NCl系に類似の二次元層状構造を有している。われわれの行った本系の比熱測定の結果、32K近傍でラムダ型の比熱ピークの存在が明らかになった。本研究では、磁化測定により、これが局在性の4価ウランの強磁性相転移であることを明らかにしたので、その結果を報告する。2Kでの飽和磁気モーメント約1.56ボーア磁子,ワイス温度26K,常磁性有効磁気モーメント3.00磁子の値が、それぞれ得られた。これらの値は、歪んだ陰イオン8(ないし9)配位(4(ないし5Cl+4N))結晶場中での4価ウランの値として矛盾のないものである。
酒井 宏典; 加藤 治一; 徳永 陽; 神戸 振作; Walstedt, R. E.; 中村 彰夫; 立岩 尚之*; 小林 達生*
Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 272-276(Suppl.), p.e413 - e414, 2004/05
被引用回数:2 パーセンタイル:13.75(Materials Science, Multidisciplinary)約1GPaまでの高圧下において、絶縁体ウラン酸化物UOの直流帯磁率をピストンシリンダー型高圧セルを用いて測定した。約0.2GPaの低い圧力領域以降、弱い強磁性が出現することがわかった。このとき、残留磁化・保磁力は、加圧に従って増大する、この弱い強磁性は、スピンモーメントが傾いたことによるか、もしくは、粒界付近に生じたキャンセルしない磁気成分によって生じたものと考えられる。
阿部 英樹*; 吉井 賢資
Japanese Journal of Applied Physics, Part 2, 41(6B), p.L685 - L687, 2002/06
被引用回数:8 パーセンタイル:35.08(Physics, Applied)近年、ホウ素化合物MgBが39Kで超伝導を示すことが報告され、本物質の性質に関する研究が盛んである。これまでの報告では、本系の合成はMgとBの直接反応によって行われている。本研究では、この物質が電気化学的に合成できることを見出した。合成はMgCl,KCl,MgBOの混合溶液に対し、600C,アルゴンフロー下で行った。磁化測定及びX線回折測定から、マイナス極に析出した試料がMgBを含むことを明らかにした。ボルタメトリ測定から、MgBが生成する電圧は-1.6Vと求められた。
阿部 英樹*; 吉井 賢資; 北澤 英明*
Physica B; Condensed Matter, 312-313, p.253 - 255, 2002/03
被引用回数:4 パーセンタイル:26.08(Physics, Condensed Matter)希土類金属間化合物CeRhGe単結晶に対する磁化測定から、外部磁場がc軸に平行である場合、低温で多段階メタ磁性転移を起こすことがわかった。このメタ磁性の温度依存性を詳細に調べ、この系の磁気相図を明らかにした。すなわち、温度と磁場をパラメータにし、8つの異なる相が存在することが見出された。
手塚 慶太郎*; 日夏 幸雄*; 中村 彰夫; 稲見 俊哉; 下条 豊; 森井 幸生
Journal of Solid State Chemistry, 141, p.404 - 410, 1998/00
被引用回数:89 パーセンタイル:96.29(Chemistry, Inorganic & Nuclear)ペロヴスカイト型化合物LaSrCrO系(x=0,0.05,0.10,0.15,0.20,0.25)の磁気的性質を、磁化率測定及び中性子回折法により検討した。これらすべての系は反強磁性体であり、そのネール温度はLaCrO系(x=0)の286KからSr置換とともに単調に減少していくことを明らかにした。またネール温度以下で、ほぼすべての系において、構造変態を含めた少なくとも二種類の磁気転移が存在することがわかった。低温での中性子散乱実験から、これらの構造及び磁気構造を明らかにした。
土屋 佳則*; 尾藤 輝夫*; 村山 茂幸*; 近澤 進*; 濱口 由和*
Journal of the Physical Society of Japan, 65(10), p.3289 - 3293, 1996/10
被引用回数:17 パーセンタイル:72.3(Physics, Multidisciplinary)Crに対するFeの添加はCrの反強磁性を弱め、Feが19%を越えると強磁性が出現する。一方Mnは数%の添加でCrのネール点を大きく上昇させる。Crに対して相反する作用をするFe、MnをCrに同時に加えたとき、複雑な磁気的性質を示すことが期待できる。本研究ではbcc Cr-Fe-Mn合金について磁化測定を行い、この合金系の磁気的性質を考察した。磁場中冷却(FC)、無磁場中冷却(ZFC)の磁化の温度依存性から、この合金がスピングラス転移することがわかり、同時にアロットプロットから強磁性転移が確認された。これまで報告されている電気抵抗の結果と総合して、CrFeMn、CrFeMn合金について磁気相図を作成した。この合金は温度降下とともに反強磁性、強磁性、スピングラスの順に磁気相転移する。また、LEE-CPA理論との対応、電子数と磁気モーメントの関係についても言及している。
八代 勉*; 濱口 由和; 渡辺 浩
Journal of the Physical Society of Japan, 40(1), p.63 - 71, 1976/01
被引用回数:27立方晶CsCl型結晶構造を持つ、TbCuZn系の磁気構造を中性子回析および磁気測定により調べた。x0.5の領域はTbCuと同じ(0)モードの反強磁性構造であるが、0.5x0.7では強磁性・反強磁性の混在するキャント構造になることが見出された。0.7xでは強磁性である。このキャント構造の、磁性は非常に特異なものであるがこれを含め、磁気的性質は、低濃度の4S電子とのS-f相互作用がRKKY相互作用と重なるというモデルでの理論的考察と非常に良く合っている。